ファッション誌のモデルって大変らしい?
「女性ファッション誌の専属モデル」 たちは、どんな考え方や戦略を持ってこの華やかな世界で活躍しているのでしょうか。気になったので、話を聞いてみることにしました。
話を聞いた人:松本愛(まつもと あい)
モデル・タレント。1994年4月5日生まれ。
2011年に、10代の女の子向けファッション誌である『Popteen』にてモデルデビュー。
ガーリーな清楚系ギャルとして活躍した後、2015年同誌10月号にて卒業。
雑誌『JELLY』2月号よりJELLY専属モデルとなる。
現在リポーターとして「王様のブランチ」などにもレギュラー出演中。
ー 松本さん、本日はよろしくお願いします。女性ファッション誌モデルの知識レベルがゼロなので、いろいろ教えてください。
はい、よろしくお願いします!
ー では早速なんですが、モデルさんってよく雑誌を「卒業」するって言うじゃないですか。あれってどうなると「卒業」なんですか? 年齢制限とかですか?
うーん。年齢に限らずいろんなパターンがあるんですけど、わたしの場合は自分から「卒業させてください」って編集部にお願いした感じですね。
ー 所属していたティーン誌の『Popteen』ではかなり人気のギャルモデルだったそうですが、どうして自分から卒業を?
10代の頃は「ギャルが一番かわいい!」って心底思ってたんです。だからずっとギャルらしい派手なメイクやファッションばかりしてたんですけど、年齢を重ねるにつれ、だんだん好みとかって変わりますよね。
ギャルが嫌いになったわけじゃないけど、やっぱりナチュラルやシンプルな落ち着いたものもいいな、とか。
で、そういうこと思ってしまった時点で、もうギャルモデルとしてはダメなんですよ。だって、昔の自分みたいに「ギャルが一番!」と純粋に思ってる新しい子はどんどん出てくるわけで。そんな子たちに、気持ち半分の自分が勝てるはずがない。
そこに気づいちゃうと、「あ、もう卒業しかないな」って。
ー 卒業後、移籍先の雑誌はどんな基準で選んだんですか?
いくつかの雑誌に出させてもらったんですが、今お世話になっている『JELLY』が、ヘアもメイクも服装もプライベートに一番近くてやりやすいなぁ、と。
あと、当時『JELLY』のモデルには“ちょっと甘い系”の担当がいなかったので、誰ともキャラ被りしなくていいなぁ、というのも正直ありました。
質問2. モデル同士の「キャラ被り」ってやっぱり意識するものなの?
ー モデルさんの中での「キャラ被り」っていうのは、やっぱり気になるんですか?
気になります! モデルにとって、それはもう非常に重要な問題なんです。
男の子から見たら全員同じように見えるかもしれないんですが、女の子ってやっぱり細かいんですよ。特に読者の方は毎月見てくれるので、正直もう「似てる子は同じ雑誌に2人もいらない」っていう空気があって……。
ー 誌内で熾烈なポジション争いが展開されるわけですね。
載ってる人数が多ければ、同じ「カテゴリ」というのはセーフなんです。でも、そのカテゴリ内では他の子と差別化できないと絶対ダメ。誰かとまったく同じになった瞬間、人気の差で片方だけがバサッと切られちゃうんです。「あんなに編集部に推されてたのに、見なくなったなぁ」って子も、いっぱいいました。
だから、自分のポジションをずっと維持し続けるのって、ワンパターンに見えて実はけっこうツラいんですよ。
— なるほど。じゃあモデル同士だと、系統が近い子よりは遠い子のほうと仲良くなりやすいんですか?
いや、そこはそうでもないんです。ニコイチというか、誌面上での“コンビ売り”みたいなのも多くて。だからわたしも一番仲が良かったのは、仕事でよく一緒になる相方的なガーリー担当の子でした。
もちろん、同じガーリー担当でも系統は違います。相方の子は黒髪で清楚、わたしは甘い系の中でもギャル寄りの甘いを担当していました。だからぶつからないんですよ。
質問3. 性別や年齢層によってファンの反応はやっぱり違うの?
ー モデルさんのファンの方は、やはり同年代の女の子が多いんですか?
基本はそうですね。ただ、わたしの場合、昔は女の子のファンだけだったのに、最近Twitterでリプくれるのはなぜか男の子ばっかりなんですよね。グラビアとかに出始めた影響かもしれません。Instagramは相変わらず女の子だけなんですけどね。
ー 女の子と男の子で、送ってくれるコメントに違いはありますか?
女の子の場合は、「今日の服装かわいい!」とか「それどこで買ったの?」とか、わたし自身というよりファッションに関するコメントが多いですね。前髪伸ばしてるよ、みたいな写真の投稿すると、「もうぱっつんには戻さないの?」ってきたりとか。
それに対して男の子は、なに載せても「かわいい」としか言ってくれません。
ー まぁ男って何でもそうですよね。あははは
質問5. 結局モデルの人気ってどういうところで決まるの?
ー では最後の質問です。「清楚ギャル」のようなブランディングやキャラづくりは、モデルさん自身の意志でおこなうものなんですか?
『Popteen』に関していえば、自分で“自分っぽさ”を探し、それを自分で主張して、自分で発信する、という形が基本でした。その“発信力”の強い子だけが生き残っていくという世界でしたね。
自分の見せ方を見つけられなかったり、見つけても発信力が弱かったりすると、読者の支持が集まらないので。そういう子はどんどん消えていきましたね。
ー 「発信力」というのは、やはりSNSのフォロワー数とかになるのでしょうか?
今はわかりませんが、わたしの時代で重要だったのは、自分が誌面上で言ってることの内容、あとはブログですね。当時でいえばアメブロとかCROOZ blogとか。そういうファンとの近さとか親しみやすさとかが出てる子のほうが、人気はありましたね。
ー じゃあけっこうコメント返信とかはマメにしてたんですか?
めちゃめちゃしてました。友達とずっとやってるような感覚ですね。だから返信遅れると、ちょっと怒っちゃう子とかもいて。リプとかコメント返しとか、もうめっちゃマメでしたよ。
今でもInstagramにはちゃんとコメント返してますし、Twitterも移動時間などで携帯触れる時には、なるべく返すようにしてます。
ー やっぱり、なんだかんだでそういうのが一番大事なんですね。
結局そうなんですよ……(しみじみ)
松本愛さん、ありがとうございました。
これからも映像の世界での活躍を応援しています。